香階とは、19世紀にイギリス人の化学者であり調香師であるピエスが“音階”に“天然香料”に当てはめたもの。
重たい香りを低音に、抜けるような揮発性の高い香りを高域に当てはめた香りのスケールです。
オクターブごとに香りが調和され、ドミソのように協和する和音は香りでも調和するように工夫されています。
初めてこの香階に出会った時、その理に感動を覚えました。
現在この香階に当てはめられているすべての香りが手に入るものというわけではなく、また音も香りもこの表だけでは当てはまらない奥深さがあるため、この《香階》がすべてではないという部分にまた心躍らされます。
この《香階》を19世紀から送られてきたヒントだと捉え、Bruyéresの香りには取り入れていきたいとおもっています。
音には誰が聞いても気持ちよく感じる協和音と、不快に聞こえる不協和音があります。しかし、時に音楽の中では『不協』とされる音が、ものすごく心に響く一音になることがあります。
香りもきっと同じです。
このピエスの香階を見ると、色々な角度からの着想が浮かびます。
音楽なのか香りなのか。この先何がしたいのかを聞かれれば、時に現れる“不協和音”も含めたこの世界の美しいものを、様々な形で表現していくことが私の夢です。